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Cocoa練習帳

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2018-12-03 [cocoa][swift]え!それって参照渡し?

_ # はじめに

とても違和感を感じる用語がある。それは、『参照渡しだ』。
え!違うだろ?と感じていたが、いい機会なので、調べてみた。

_ # 引数

引数と呼ばれるものにどんな種類があるのか、まずは列挙してみる。

_ ## 実引数

関数に渡す値。

sum(1, 2);

_ ## 仮引数

関数が受け取った変数。

int sum(int a, int b)
{
    return a + b;
}

_ ## 値渡し(call by value

値が渡される。

_ ## ポインタ渡し

渡す値がアドレスの値渡し。

_ ## 参照渡し

_ ### 変数渡し(call by variable)

変数そのものを渡す。

_ ### 参照渡し(call by reference)

参照渡しで、内部でアドレス情報を渡す方法。

自分の理解では、初期のプログラミング言語ではローカル変数の実装が困難で、変数はグルーバル。なので、変数渡し。近年の高級言語でローカル変数が実現され、その流れで値渡しが用意されたのかなと思っている。

_ # Pascal

Pascalでは,値渡し(call by value)と変数渡し(call by variable)が存在し、変数渡しは参照渡しに相当する。

そもそもは、変数渡しの実装方法に参照渡しがある。参照渡しは、変数に対する参照(アドレス情報)を渡す方法だ。

Inside Macintoshは、コードはPascalで記載されているが、それをC言語で利用する場合、varがついた変数渡しの引数は、C言語ではポインターと読み替えていた。

具体的には、Inside Macintoshで以下のようにPascalで説明されていたとする。

PROCEDURE GetPort(VAR port: GrafPtr);

これをC言語では、以下のように読み替える。

void GetPort (GrafPtr *port);

_ # C言語

C言語の関数の引数は全て値渡し。K&Rでしっかりと説明されている。
ポインタでアドレスの値を渡すのを参照渡しと呼ぶのは間違いだ。

_ # Java

Javaも全て値渡し。
ポインタ演算ができない、アドレス(参照)の値渡しが利用できるが、これを参照渡しと呼ぶのは、如何なものか。

0'RellyのJavaクイックリファレンスでは、Javaは配列とオブジェクトを参照を通じで扱うと説明されていた。また、参照渡しという言葉と混同しないようにと書かれていた。
参照型の値渡しが参照渡しと勘違いされるのは、仮引数の参照型の中身の値の変更が、実引数側に反映されるからだと思うが、参照先自体の変更ができない。これは、C言語で、引数で渡されたポインターが指す先の値は変えらるがアドレスは変えられない。変えたい場合は、ポインターのポインタを利用するしかないということから分かると思う。


static char a[] = "hello";
static char b[] = "world";
 
void set_b(char **handle)
{
    *handle = b;
}
 
in t main(int argc, char *argv[])
{
    char *ptr = a;
    printf("%s\n", ptr);
    set_b(&ptr);
    printf("%s\n", ptr);
    return EXIT_SUCCESS;
}

_ # C++

値渡しに加え、本物の参照渡しが存在する。

void time_two(int& a)
{
    a *= 2;
}

また、C++11では右辺値参照・ムーブセマンティクスという所有者の移動が用意されている。

_ # C#

二つの参照渡しの方法が用意されている。

_ ## ref

int initializeInMethod = 0;  // 初期化が必須
OutArgExample(initializeInMethod);
Console.WriteLine(initializeInMethod);
 
void OutArgExample(ref int number)
{
    number = 44;
}

_ ## out

int initializeInMethod;
OutArgExample(out initializeInMethod);
Console.WriteLine(initializeInMethod);
 
void OutArgExample(out int number)
{
    number = 44;  // 代入が必須
}

refは変数が渡されるので、初期化によって値が設定されていない変数はNGだ。

outは値を返すという意味から、初期化は必須でないか、関数内で値を必ず設定しないといけない。

_ # Swift

値渡しだが、inoutキーワードをつけると値呼びの結果返し(call-by-value-result)となる。
C言語のポインターの場合と同様に、変数が参照型の場合、参照の値渡しにより値を変更できる。

class Demo {
    public var num = 0;
}
 
func set999(a: Demo) {
    a.num = 999;
}
 
let demo = Demo()
set999(demo)

値呼びの結果返しの例。

func set999(a: inout Int) {
    a =999
}
 
var num = 0
set999(&num)

少し複雑に感じるが、基本、C言語と同様と考えると成る程だ。


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